1. 求人媒体とは|求人を載せる「場所」のこと
求人媒体とは、求人を掲載する場所のことだ。ハローワーク、Indeedのような求人検索エンジン、有料の求人サイト、スマホの求人アプリなどが含まれる。「採用媒体」と呼ばれることもあるが、指しているものはほぼ同じだ。
ここで混同しやすいのが人材紹介との違いである。求人媒体は「載せる場所」で、集めるのは自社。人材紹介は「候補者を探して連れてきてもらう」サービスだ。建設業では、この違いが選択肢そのものを決めてしまう。
とび・鉄筋工・型枠・塗装・解体・配管・電気工事など、工事に直接従事する「建設業務」については、有料の職業紹介事業者が職業紹介をしてはならないと定められている。労働者派遣も原則として禁止だ。
条文でいう「建設業務」は「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務」と定義されている。作業そのものに関わる業務が対象という意味だ。
一方で、施工管理・現場監督・CADオペレーター・現場事務など、作業に直接従事しない職種は人材紹介・派遣の対象にできる。
もう一点、誤解されやすいところを補っておく。ハローワークの職業紹介は使える。条文が禁じているのは「有料職業紹介事業者」が建設業務の職業を紹介することであって、紹介という行為そのものが禁止されているわけではない。職人をハローワークから紹介してもらうことに問題はない。
つまり現場の職人を採るときは、媒体に出して自分で集めるしか選べない。だからこそ、建設業では「どの媒体にどう出すか」が採用の成否を分ける。
根拠:職業安定法第32条の11/労働者派遣法第4条第1項第2号
2. 建設業で使える求人媒体は6種類【一覧表】
数え方はいろいろあるが、実務では次の6種類に分けて考えると迷わない。
| 種類 | 費用 | 技能工(現場の作業職) | 施工管理など管理系 | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|---|
| ハローワーク | 申し込み無料 | ○ | ○ | まず出す土台。地元の求職者に届く |
| 求人検索エンジン (Indeed・求人ボックス・スタンバイなど) | 無料枠あり+有料 | ○ | ○ | 検索から拾われる。無料で試して有料に広げる |
| 無料の採用ページ作成ツール (Airワーク 採用管理・engage) | 基本機能は無料 | ○ | ○ | 自社の採用ページを持てる。作った求人が検索エンジンに自動で載る |
| 有料の求人媒体 (求人サイト) | 有料 | ○ | ○ | 期間を決めて集中的に集める |
| 建設に特化したアプリ (助太刀など) | 媒体による | ○ | △ | スマホしか使わない層・同業のつながりに届く |
| 現場の掲示・チラシ・紹介 | ほぼ無料 | ○ | × | 近隣・同業からの流入。地味だが効く |
この表で押さえてほしいのは2点だ。ひとつは技能工はどの媒体でも狙えるが、人材紹介という選択肢だけが存在しないこと。もうひとつは無料で出せる枠が実際にあることだ。順に見ていく。
3. 無料で出せる媒体と、有料媒体の違い
「求人媒体は金がかかる」と思われがちだが、無料で出せる枠は実在する。ここを使わずに有料から始めると、費用だけが先に出ていく。
まず、無料で出せるものを名前で挙げる。それぞれの公式サイトに書かれている範囲だけを載せた。
| サービス | 無料でできること | 有料オプション | 運営 |
|---|---|---|---|
| ハローワーク | 求人の申し込みは無料。全国500カ所以上のハローワークとインターネットで公開される | なし | 厚生労働省 |
| Indeed | 求人掲載は無料。採用サイトを持っていなくてもIndeed内に企業ページを無料で作れる | スポンサー求人 クリック課金 | Indeed Japan |
| Airワーク 採用管理 | 採用ホームページと求人ページの作成、応募者管理が無料。作った求人はIndeedに自動転載される | 公式に記載なし | Indeed Japan 2025年4月より提供 |
| engage | 基本機能はずっと0円。無制限の求人掲載・自社の採用ページ作成・応募者管理。求人ボックス、スタンバイ、Googleしごと検索などへ自動掲載される | エンゲージプレミアム 露出を増やすもの | 株式会社エンゲージ |
| スタンバイ | 「無料掲載のみでのご利用は現在ご案内しておりません」と明記されている | クリック課金 1クリック20円〜 | 株式会社スタンバイ LINEヤフーとビジョナルの合弁 |
スタンバイは単独では無料掲載を受け付けていない。ただしengageの公式サイトには、無料の基本機能で作った求人が求人ボックスやスタンバイにも自動掲載されると書かれている。つまりengage経由なら無料で載る。1社ずつ登録するより、この経路のほうが手間が少ない。
ハローワーク|申し込みに費用はかからない
ハローワークに求人を申し込むと、無料で全国500カ所以上のハローワークとインターネットを通じて公開される。さらに、ハローワークインターネットサービスで公開した求人は求人検索サイトなどの検索対象にもなる(いずれも厚生労働省の記載)。会社のパソコンから求人情報を仮登録して、ハローワークでの内容確認を経て本登録する流れも用意されている。
「ハローワークは応募が来ない」と言われることがあるが、無料で出せる土台としてはまず押さえておく価値がある。届かないのは媒体のせいだけでなく、求人票の書き方が原因のこともある。
求人検索エンジン|無料枠があり、有料は上乗せ
Indeedは無料で求人を掲載できる。職種名・会社名・勤務地・給与・雇用形態・仕事内容・求める人材・勤務時間・待遇などを登録して出せるうえ、採用サイトを持っていない会社でもIndeedの中に自社の企業ページを無料で作れる。費用がかかるのは、スポンサー求人という有料オプションを使ったときのみだ(Indeed公式の記載)。
建設に特化したアプリ|助太刀
建設業に特化したものとして、職人と工事会社をつなぐアプリ「助太刀」がある。公式サイトでは「職人と工事会社の新しい出会いがみつかるアプリ」と説明され、23万事業者が利用しているとされている。求人については「助太刀社員」というサービスがあり、全国87職種の職人に社員募集・スカウトができると案内されている。
料金は公式サイトに公開されていないため、費用は問い合わせで確認することになる。この種のアプリの強みは、求人サイトを見ない層に届くことだ。ふだんスマホしか使わない職人、同業のつながりの中で仕事を探している職人は、求人検索エンジンの外側にいる。
有料の求人媒体|期間を決めて集中的に
掲載期間と枠を買う形の求人サイトは、短期間で母集団を作りたいときに向く。ただし料金は媒体・職種・エリア・枠の大きさで大きく変わり、公的に定められた相場はない。見積もりを取るときは「掲載期間」「想定の応募数」「応募が来なかった場合の扱い」を必ず確認しておきたい。
順番としては、まず無料枠(ハローワーク+求人検索エンジンの無料掲載)で出し、応募の反応を見る。反応が薄いなら、媒体を増やす前に求人票を直す。そのうえで足りない分を有料で広げる——この順番だと、費用が先に出ていかない。
4. Indeedの無料掲載とスポンサー求人はどう違うか
「indeed 無料掲載」で調べる人が多いので、ここは公式の記載に沿って整理しておく。
| 無料掲載 | スポンサー求人(有料オプション) | |
|---|---|---|
| 費用 | 無料 | クリック課金 |
| 登録できる情報 | 職種名・勤務地・給与・雇用形態・仕事内容・求める人材・勤務時間・待遇など | 同じ項目を登録 |
| 企業ページ | Indeed内に無料で作成できる | 同じ |
| 掲載審査 | 通常数時間〜最大72時間 | 同じ |
公式に書かれているのは「有料になるタイミングはスポンサー求人を使ったときのみ」という点と、審査に数時間から最大72時間かかるという点だ。無料掲載と有料掲載で掲載順位や表示期間がどう変わるかは、公式には明記されていないため、ここでは断定しない。まず無料で出し、応募の来かたを自分の目で確かめるのが確実だ。
5. Indeed PLUS|1つ出すと、複数の求人サイトに載る
媒体選びの前提が2024年に変わった。Indeed PLUSという求人配信プラットフォームが始まり、1つの求人を作れば、Indeed以外の求人サイトにも自動で配信されるようになった。
リクルートの発表によると、開始は2024年1月30日。「Airワーク 採用管理」から一つの求人を作成すれば、最適なジョブボードに自動で配信される仕組みで、この時点で連携していたのはリクナビNEXTとタウンワークだった。課金は求人閲覧時のクリック課金だ。
実務で意味があるのは、「どのサイトに出すか」を1件ずつ選ぶ作業の比重が下がったということだ。かわりに効いてくるのが原稿の中身になる。配信先を細かく指定しないぶん、どの求人が選ばれて表示されるかは書かれている内容で決まる。媒体を増やすより求人票を直すほうが先だ、という順番はここでも変わらない。
連携するジョブボードは順次追加されている。この記事では発表時点で公式に確認できた事実だけを書いた。今どのサイトに配信されるのかは、Indeedとリクルートの公式発表で確認してほしい。代理店や解説記事の一覧は、時点がずれていることがある。
6. 職種別|どこに出すと届きやすいか
同じ建設業でも、採りたい職種で出し先は変わる。使える手段そのものが違うからだ。
| 採りたい職種 | 主戦場になる媒体 | 使えない手段 |
|---|---|---|
| とび・鉄筋工・型枠・塗装・解体など技能工 | ハローワーク/求人検索エンジン/建設特化アプリ(助太刀など)/現場の掲示・紹介 | 有料の人材紹介・派遣 |
| 施工管理・現場監督 | 求人検索エンジン/有料の求人媒体/転職サイト/人材紹介 | — |
| 重機オペレーター・ドライバー | ハローワーク/求人検索エンジン/求人アプリ | 有料の人材紹介(作業に直接従事する場合) |
| 現場事務・CADオペレーター | 求人検索エンジン/有料の求人媒体/人材紹介 | — |
| 未経験・若手 | 求人検索エンジン/求人アプリ/ハローワーク(若年者向け助成金と併用) | — |
技能工と管理系で、そもそも選べる手段が違う。ここを混ぜて考えると「紹介会社に頼んだのに職人は紹介してもらえなかった」という行き違いが起きる。職種ごとの詳しい集め方は職人の集め方の記事と施工管理の採用の記事でまとめている。
7. 媒体を決める前に、確認しておくこと
媒体選びの前に、次の3つを押さえておくと選定がぶれない。
誰を、何人、いつまでに採りたいのか
「職人を1人」と「施工管理を3人、半年で」では、選ぶ媒体も予算配分もまったく変わる。ここが曖昧なまま見積もりを取ると、媒体側の提案に流される。
求人票が「比べられる状態」になっているか
給与が「応相談」、休日が「シフト制」、仕事内容が専門用語の箇条書きだけ——この状態でどの媒体に出しても、読んだ人は他社と比べようがない。媒体を選ぶ前に求人票を直すほうが、効果が早い。
応募が来たとき、誰がいつ返すのか
応募から返信までが遅いと、他社に決まってしまう。媒体費を払う前に、返信の担当と目標時間を決めておく。
8. 媒体を決めたあとにやること
出しっぱなしにしないことが、いちばん費用対効果に効く。
- 数字を見る:表示回数・クリック数・応募数の3つを、媒体の管理画面で毎週確認する。
- どこで止まっているかを見る:表示が少ないなら露出の問題。クリックはあるのに応募が来ないなら求人票の問題。応募はあるのに面接に来ないなら対応スピードの問題。
- 1つずつ直す:同時に全部変えると、何が効いたか分からなくなる。タイトル、給与の書き方、写真——1つ変えて反応を見る。
- 効いた媒体に寄せる:2〜3か月回して、応募が取れている媒体に予算を寄せ、取れていない媒体を落とす。
媒体以外の経路も、同時に仕込む
人が来る経路は媒体だけではない。工業高校や職業訓練校との関係づくり、社員からの紹介(リファラル)、InstagramやXでの現場発信——どれも短期では効かないが、媒体費がかからない。媒体の運用を回しながら並行して仕込んでおくと、翌年以降の採用が楽になる。逆に媒体だけに頼り続けると、出稿を止めた月に応募がゼロに戻る。
この運用を続けられるかどうかで、同じ媒体費でも結果が変わる。求人票そのものの直し方は求人が来ない原因と、応募が集まる求人票の書き方で詳しくまとめている。
9. ゴリラ採用の考え方
ゴリラ採用は、建設業に完全特化した採用代行(RPO)だ。現場の作業職は人材紹介が使えない——その制約を前提に、媒体の選定から求人原稿づくり、出したあとの運用と応募対応までをまるごと代行する。
媒体を増やすことより、まず求人票と対応を直し、反応を見ながら比重を変える。この運用をプロが回し続けるため、自社だけで頑張るよりも応募の質と量が安定しやすい。どの媒体にいくら使うべきかは、職種・エリア・採りたい人数で変わるため、実際の求人内容に合わせて無料相談でお伝えしている。