1. 受け入れ人数に上限があるのは建設と介護だけ
外国人の受け入れを考えている建設会社から、よく出る質問がある。「うちは何人まで受け入れられるのか」。答えは、日本人を中心とする常勤の職員が何人いるかで決まる。まずは、この上限がどこに書かれているのかを確認しておきたい。
特定技能(人手不足の分野で、一定の専門性や技能を持ち即戦力となる外国人を受け入れる在留資格。1号は原則として通算5年まで、熟練した技能を持つ2号には在留期間の上限がない)では、会社ごとに受け入れられる人数に原則として上限はない。出入国在留管理庁のQ&Aは、次のように答えている。
受入れ機関ごとの受入れ数の上限はありません。ただし、介護分野については、分野別運用方針において、「事業所で受け入れることができる1号特定技能外国人は、事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数を上限とすること」とされています。また、建設分野については、分野別運用方針において、「特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人の数が、特定技能所属機関の常勤の職員(外国人技能実習生、1号特定技能外国人を除く。)の総数を超えないこと」とされています。
つまり、会社ごとに受け入れ人数の上限が決まっているのは、介護と建設の2分野だけである。
建設分野の上限を定めているのは、国土交通省の告示(平成31年国土交通省告示第357号)だ。建設分野で特定技能の外国人を受け入れる会社は「建設特定技能受入計画」をつくり、国土交通大臣の認定を受ける必要がある。その認定の条件のひとつとして、こう書かれている。
一号特定技能外国人の総数が常勤の職員(一号特定技能外国人及び技能実習生(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)第二条第一項に規定する技能実習生をいう。)を含まない。)の総数を超えないこと。
常勤の職員が5人の会社なら、特定技能1号で受け入れられるのは5人まで。10人なら10人まで。外国人の人数が、日本人を中心とする常勤の人数を上回らないように作られている。
なぜ建設だけ、ほかの分野より条件が多いのか。国の運用方針(法務大臣・国土交通大臣らが分野ごとに定める方針)は、建設の受入れ企業に特別な条件を課す理由をこう説明している。
建設業では、従事することとなる工事によって建設技能者の就労場所が変わるため現場ごとの就労管理が必要となることや、季節や工事受注状況による仕事の繁閑で報酬が変動するという実態もあり、特に外国人に対しては適正な就労環境確保への配慮が必要であることから、次のとおりとする。
現場ごとに働く場所が変わり、仕事の量が季節や受注で揺れる。そのぶん外国人が働く環境に目が届きにくい、という業界の事情が前提にある。
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によると、建設業で働く外国人は206,468人(令和7年10月末時点)で、前年の177,902人から16.1%増えた。外国人を雇っている建設業の事業所も、前年の44,811か所から50,133か所に増えている。
在留資格「特定技能」で建設分野に在留している人は、1号が52,132人、2号が5,329人(令和8年6月末・速報値)。2号は令和7年12月末の1,799人から、半年で約3倍になった。
2. 常勤の職員に入る人・入らない人
上限の計算でいちばん迷うのが、「常勤の職員」に誰を数えるかだ。役員は入るのか、パートはどうか、すでに雇っている外国人はどうか。国土交通省の申請の手引き(「建設特定技能受入計画のオンライン申請について【新規】」2025年4月4日)が、数え方を具体的に示している。
法人の場合、まず社会保険(建設国保を含む)に加入している人が対象になる。そのうえで、区分ごとに次の条件に当てはまる人を数える。
| 区分 | 常勤の職員に数える条件 |
|---|---|
| 役員 | 常勤の役員で、報酬額が一定額以上である |
| 日本人の従業員 | パート勤務などの短時間労働者ではない |
| 外国人の従業員 | 短時間労働者ではなく、在留資格が「特定技能」「技能実習」「特定活動(特定技能移行予定等)」ではない |
外国人の従業員について、手引きはこう書いている。
外国人従業員→パート勤務等の短時間労働者ではなく、かつ在留資格が「特定技能」「技能実習」「特定活動(特定技能移行予定等)」ではない者。
ここから読み取れることは3つある。パートやアルバイトは、日本人でも数えない。非常勤の役員や、報酬が一定額に満たない役員も数えない。そして外国人でも、永住者や日本人の配偶者、技術・人文知識・国際業務などの在留資格でフルタイムで働いている人は数える。ただし手引きは、特定活動(帰国困難)や特定活動(雇用維持支援)の人も常勤職員には含まれないとしている。
個人事業の場合は、事業主本人を常に数える。常時雇っている従業員が5人以上なら事業主を除いて社会保険への加入が、4人以下なら事業主と事業専従者を除いて雇用保険への加入が前提になる。
派遣で来ている人は、自社の社会保険に加入していないため、この数え方の対象に入らない。そもそも建設現場の作業に労働者を派遣することは、労働者派遣法で禁じられている。この点は建設業で人材紹介が禁止される理由の記事で整理した。
告示が常勤から除いているのは「一号特定技能外国人」と技能実習生だけで、2号には触れていない。建設分野の受け入れを担う一般社団法人建設技能人材機構(JAC)のQ&Aも、「特定技能2号」は常勤職員に含まれるかという質問に「常勤職員に含まれます。」と答えている。
一方で、国土交通省の申請の手引きは、上のとおり在留資格が「特定技能」の人を1号・2号の区別なく外している。建設の2号はこの半年で約3倍に増えており、2号の職人を数に入れて1号の枠を広げたいと考える会社もあるはずだ。2号を常勤に数える前提で計画を組むなら、申請先の地方整備局に事前に確認しておきたい。なお、告示の上限は1号特定技能外国人の総数にかかるもので、2号の人数そのものは対象になっていない。JACのQ&Aも、2号の受入れ人数には上限が設けられていないと説明している。
2027年4月に始まる育成就労(第4章で説明)では、出入国在留管理庁と厚生労働省の運用要領が常勤の職員の目安を示している。いわゆる正社員のほか、正社員と同じ就業時間で継続して働く人であれば、日給・月給などの給与形態は問わない。①所定労働日数が週5日以上かつ年217日以上で、週の所定労働時間が30時間以上、②雇用保険の被保険者で、週の所定労働時間が30時間以上、のどちらかに当てはまれば常勤として扱ってよいとされている。
役員は原則として職員に数えないが、取締役部長のように労働の対価として報酬を受け、会社に使用されている人は、上の条件を満たせば数えてよい。本社・支社を含めた法人全体で数え、事業所ごとには数えない。派遣については、はっきり書かれている。
派遣労働者については、育成就労実施者と雇用契約を結んでいないため、当該労働者を派遣先の育成就労実施者における「常勤の職員」とすることはできません。
3. 特定技能と技能実習は合わせて数えるのか
すでに技能実習生(日本での技能の修得を通じた人材育成で国際貢献を行うことを目的とした、現行の技能実習制度で受け入れている外国人)がいて、特定技能も使いたい会社から出るのがこの疑問だ。常勤10人の会社で技能実習生が5人いたら、特定技能1号はあと5人なのか、10人なのか。
それぞれの告示の書き方を並べると、こうなる。
| 制度 | 上限の書き方 | 分母の常勤から除く人 |
|---|---|---|
| 特定技能1号 (告示第357号) | 1号特定技能外国人の総数が、常勤の職員の総数を超えないこと | 1号特定技能外国人、技能実習生 |
| 技能実習 (建設関係職種の告示第269号) | 技能実習生の総数が、常勤の職員の総数を超えないこと(ほかに技能実習の基本人数枠がある) | 外国にある事業所の職員、技能実習生、外国人建設就労者、1号特定技能外国人 |
どちらも「同じ制度の外国人の数が常勤を超えない」という書き方で、分母の常勤からは互いを除いている。文言どおりに読めば、特定技能1号と技能実習生はそれぞれ別に上限を数える形だ。
ただ、「合わせて常勤の数を超えないこと」とする規定も、「合わせて数えなくてよい」と明言した公的な説明も、今回確認した国土交通省・出入国在留管理庁・JACの資料には見当たらなかった。外国人の合計が常勤の数を上回る計画を組むなら、申請前に地方整備局へ確認してから進めたい。
2027年4月からは、はっきりする部分がある。育成就労が始まったあとも技能実習を続けている人の数は、育成就労の人数として数えることになった。育成就労法の施行規則の附則第6条は、こう定めている。
改正法附則第九条の規定によりなお従前の例によることとされた技能実習(技能実習法施行規則第一条第三号に規定する第三号技能実習を除く。)を行っている者の数は、第十九条第一項から第三項までに定める育成就労外国人の数とみなす。
つまり施行後は、第1号・第2号の技能実習生と育成就労外国人を、合わせて1つの枠で数える(第3号の技能実習生は含めない)。上の表にある技能実習の建設関係職種の告示(第269号)も、育成就労の告示の適用にあわせて廃止される。一方で、特定技能1号の上限と育成就労の上限は、それぞれ別の条件として定められている。
4. 2027年4月からの育成就労|人数枠と事前申請の時期
育成就労は、技能実習に代わって2027年(令和9年)4月1日に始まる制度だ。人手不足の分野で、原則3年の就労を通じて特定技能1号の水準の人材に育てることを目的にしている。技能実習では認められなかった、本人の意向による転籍(勤め先の変更)が、一定の条件のもとで認められる点が大きく違う。
準備はもう始まっている。出入国在留管理庁は、育成就労計画の認定について、令和8年9月1日から施行日前の申請を受け付けている。運用要領は、施行日前申請は原則として育成就労の開始予定日の7か月前から5か月前までに行うよう求めている。令和9年4月1日に受け入れを始めたい場合、計算上は令和8年9月1日から11月1日ごろまでが申請の目安になる。
建設分野の人数枠は、国土交通省の告示(令和8年6月23日の国土交通省告示第784号。令和9年4月1日から適用)が定めている。監理支援機関(技能実習の監理団体に代わる機関)を通じて受け入れる「監理型」の場合、常勤の職員の数に応じて次のとおりだ。
| 常勤の職員の総数 | 育成就労外国人の数 | 優良な育成就労実施者の場合 |
|---|---|---|
| 1人 | 1人 | 4人 |
| 2人 | 2人 | 7人 |
| 3人 | 3人 | 10人 |
| 4人 | 4人 | 12人 |
| 5人 | 5人 | 15人 |
| 6〜9人 | 常勤と同数 | 18人 |
| 10〜30人 | 9人 | 18人 |
| 31〜40人 | 12人 | 24人 |
| 41〜50人 | 15人 | 30人 |
| 51〜100人 | 18人 | 36人 |
| 101〜200人 | 30人 | 60人 |
| 201〜300人 | 45人 | 90人 |
| 301人以上 | 常勤の20分の3 | 常勤の10分の3 |
ここでの常勤の職員には、外国にある事業所の職員、育成就労外国人、1号特定技能外国人を数えない。施行後も技能実習を続けている人も数えない。
「優良な育成就労実施者」とは、告示が挙げる次の6つの事項を総合的に評価して、技能を身につけさせる能力が高い水準にあると認められた会社をいう。
- 技能と日本語能力の修得の実績
- 育成就労を行わせる体制
- 育成就労外国人の待遇
- 出入国や労働に関する法令への違反、行方不明者の発生などの問題の発生状況
- 相談に応じることなど、育成就労外国人の保護と支援の体制・実施状況
- 地域社会との共生に向けた取組の状況
さらに、監理支援機関も高い水準と認められ、会社の住所(法人は登記上の本店)が指定区域にある場合は、もう一段大きい枠(常勤9〜30人で27人など)が用意されている。指定区域は、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県の8都府県を除く地域が基本で、8都府県の一部の市町村も含まれる。
育成就労で優良と認められることには、もうひとつ意味がある。国の運用方針は、特定技能1号の上限にただし書きを付けている。
特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人の数が、特定技能所属機関の常勤の職員(外国人技能実習生、育成就労外国人及び1号特定技能外国人を除く。)の総数を超えないこと。ただし、第三の4(3)ア⑥に定める優良な育成就労実施者たる特定技能所属機関はこの限りでない。
ここでいう「優良な育成就労実施者」が、上で見た会社だ。育成就労で優良と認められた会社は、特定技能1号の「常勤の数まで」という上限が外れる。育成就労で3年育てた人を、特定技能1号に切り替えて雇い続けるときに、この違いが効いてくる。
建設分野の育成就労には、ほかにも固有のルールがある。本人の意向による転籍を制限できる期間は2年とされた。国の運用方針は理由として、技能の修得に時間がかかること、工期が1年を超える工事もあること、地方での定着を促す必要があること、外国人の労働災害の発生率が高く安全衛生の教育に時間をかける必要があることを挙げている。そのかわり、1年を超えて転籍を制限する会社は、1年目から2年目にかけて、建設分野の協議会が前年の建設業の平均賃金の上昇率をもとに設定・公表する昇給率以上の昇給をしなければならない。雇用の形は直接雇用に限られる。
受け入れの規模も大きい。建設分野の育成就労の受け入れ見込数は、令和9年度から2年間で12万3,500人。特定技能1号の見込数(令和6年度から5年間で7万6,000人)を上回る。
5. 人数のほかに求められる条件
人数の条件を満たしていても、それだけでは受け入れられない。建設分野の特定技能1号には、ほかの分野にはない条件がいくつも付いている。告示と国の運用方針、JACの案内をまとめると次のとおりだ。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 建設業の許可 | 建設業法第3条第1項の許可を受けている |
| 監督処分 | 申請日前5年以内とそれ以後に、建設業法にもとづく監督処分を受けていない(一部の処分を除く) |
| 建設キャリアアップシステム | 会社が登録していて、受け入れる外国人も登録する(建設キャリアアップシステムは、技能者の資格や就業の履歴を登録する業界共通の仕組み) |
| 業界団体への所属 | JAC、またはJACの正会員である建設業者団体に所属する。JACに直接加入する場合は年会費24万円 |
| 受入負担金 | 1号特定技能外国人1人につき、毎月12,500円をJACに納める |
| 国内人材の確保 | 適切な処遇や労働条件を示した募集など、国内の人材を確保する取組を行っている |
| 報酬 | 同等の技能を持つ日本人と同等額以上を安定的に支払い、技能の習熟に応じて昇給する |
| 事前の説明 | 雇用契約を結ぶまでに、重要事項を本人が十分に理解できる言語で説明する |
| 受け入れ後の講習 | 国土交通大臣が指定する講習または研修を受けさせる |
| 雇用の形 | 直接雇用に限る |
| 人数 | 1号特定技能外国人の総数が、常勤の職員の総数を超えない |
報酬の払い方については、建設分野の運用要領が月給制を求めている。
特定技能所属機関で雇用している他の職員が月給制でない場合も、特定技能外国人に対しては月給制による報酬の支払が求められます。
日本人の職人を日給月給で雇っている会社でも、特定技能の外国人には毎月決まった額を払う形にする必要がある。1号の外国人には生活面などの支援も必要で、登録支援機関(国に登録された支援の委託先)に委託することができる。
育成就労でも、建設業の許可、過去5年以内に建設業法の監督処分を受けていないこと、建設キャリアアップシステムへの登録、同じ業務の日本人と同等額以上の報酬、直接雇用であることは同じように求められる。育成就労ではこれに加えて、就労期間に応じた昇給、国土交通省が組織する建設分野の協議会への加入(JAC、またはJACを構成する建設業者団体に所属していれば加入しているとみなされる)、入国後講習での労働安全衛生の講習が条件になる。
6. 常勤の人数別・受け入れ上限の早見表
ここまでの内容を、常勤の職員の人数ごとにまとめる。特定技能1号は現行の告示、育成就労は2027年4月から適用される告示(監理型)による。
| 常勤の職員 | 特定技能1号 | 育成就労(監理型) | 育成就労(監理型・優良) |
|---|---|---|---|
| 3人 | 3人 | 3人 | 10人 |
| 5人 | 5人 | 5人 | 15人 |
| 10人 | 10人 | 9人 | 18人 |
| 20人 | 20人 | 9人 | 18人 |
| 30人 | 30人 | 9人 | 18人 |
| 50人 | 50人 | 15人 | 30人 |
読むときの注意点を4つ挙げておく。
- 常勤の数え方は制度ごとに違う。特定技能は国土交通省の申請の手引き、育成就労は出入国在留管理庁と厚生労働省の運用要領に沿って数える。
- 育成就労で優良と認められた会社は、特定技能1号の上限が外れる。
- 育成就労の施行後も技能実習を続けている人(第3号を除く)は、育成就労の人数に含めて数える。
- 表の数字は受け入れられる上限であって、その人数まで受け入れてよいという目安ではない。報酬、住まい、生活の支援、現場での指導体制を用意できる人数が、実際の上限になる。
7. 日本人が辞めて上限を割ったらどうなるか
常勤5人の会社が特定技能1号を5人受け入れていて、日本人の社員が1人辞めた。常勤は4人になり、外国人の数のほうが多くなる。職人の入れ替わりがある建設業では、起こりうる話だ。
特定技能の場合、人数の条件は受入計画の認定の条件そのものである。告示は、認定の取消しについてこう定めている。
国土交通大臣は、次のいずれかに該当するときは、建設特定技能受入計画の認定を取り消すことができる。
そして、取り消すことができる場合の一つ目に次を挙げている。
認定受入計画が第三条第三項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるとき。
「取り消すことができる」という書き方なので、上限を割った瞬間に自動で取り消されるわけではない。ただ、日本人が辞めて一時的に上限を割った場合の特別な扱いは、今回確認した告示・運用方針・運用要領・申請の手引きには見当たらなかった。上限ぎりぎりまで受け入れず、常勤の数に余裕を持たせておくほうが安全だ。割り込みそうになった時点で、地方整備局に相談しておきたい。
育成就労は、この点がはっきり書かれている。運用要領は、人数枠に含めない場合のひとつとして次を挙げている。
育成就労実施者が優良な育成就労実施者でなくなったこと又は育成就労実施者の常勤職員の総数が減少したことにより育成就労外国人の受入れ人数枠が減少したが、既に受け入れている育成就労外国人が、引き続き当該育成就労実施者で育成就労を継続することを希望しており人数枠を超過する場合(なお、これら育成就労外国人を人数枠の枠外として取り扱ったまま、新たに育成就労外国人を受け入れることはできません。)
すでに受け入れている人が続けて働くことを望んでいれば、枠を超えても続けられる。ただしその状態のまま新しく受け入れることはできない。枠外として扱ってもらうには、育成就労計画の認定申請の際に、該当する人が含まれることを説明する書類を付ける必要がある。
8. 外国人の前に、日本人の採用が問われる
ここまで見てきたとおり、建設分野の外国人の受け入れは、日本人の採用と切り離せない仕組みになっている。理由は3つある。
1つ目は、受け入れ枠そのものが、日本人を中心とする常勤の数で決まること。特定技能1号は常勤の数まで、育成就労も常勤の数に応じた枠だ。日本人の常勤を増やし、辞めずに続けてもらうことが、そのまま外国人を受け入れられる人数になる。
2つ目は、審査で日本人を確保する取組が見られること。告示は受入計画の認定条件に、国内人材確保の取組を行っていることを入れている。国土交通省の申請の手引きは、その証明として、ハローワークで求人した際の求人票(申請日から直近1年以内で、フルタイムかつ建築・土木の作業員の募集であるもの。正社員の募集に限る)を必須書類にしている。ハローワークに求人を出したことがなければ、一度出してからその求人票を提出するよう求めている。手引きは、制度の位置づけをこう説明している。
特定技能制度は、国内人材の確保の取組を行ってもなお、人材を確保することが困難な状況にあるため必要と認められる場合に限って外国人材の受入れを可能とする制度です。
3つ目は、外国人の給与が、日本人向けの求人条件と連動すること。手引きは、求人票に書いた月給額も審査の対象だとして、次の例を挙げている。
例えば、経験不問で月給額25万円~という内容の求人票を添付しているのに、1号特定技能評価試験に合格した特定技能外国人の基本賃金(月額)が23万円であった場合、同等技能を有する日本人と同等以上の報酬であるとは認められません。
手引きは続けて、25万円に3年分の昇給を加えた額でなければ同等以上とは認められないとしている。日本人向けの求人に書いた条件が、外国人に払う給与の下限を決めるということだ。JACも、制度の説明でこう念を押している。
外国人を安価な労働力として考えている方もいますが、特定技能制度を利用するには、日本人と同等の賃金を支払うことはもちろんのこと、様々な費用がかかります。
日本人向けの求人票に何を書けば応募が集まるかは求人が来ない原因と対策の記事で、日給・月給の水準は建設業の最低賃金の記事で整理している。
国の運用方針は、建設分野で令和10年度に36万人程度の建設技能者が不足すると見込んでいる。そのうえで、ICTの活用などによる生産性向上で14万9,000人程度、処遇改善などの取組による追加的な国内人材の確保で1万1,500人程度を補っても、なお足りない分として、特定技能1号と育成就労を合わせた受け入れ見込数を19万9,500人としている。
国の計算でも、日本人を増やせる見込みは大きくない。それでも外国人の受け入れ枠は、日本人を中心とする常勤の数で決まる。日本人を採って定着させられる会社ほど、外国人も多く受け入れられるという関係になっている。
9. ゴリラ採用の考え方
外国人材の受け入れは、人手不足への答えのひとつになりうる。ただ、建設分野の制度は、日本人の採用がうまくいかない会社がそのまま外国人に切り替えられるようには作られていない。受け入れ枠は日本人を中心とする常勤の数で決まり、審査ではハローワークでの求人をはじめとする日本人を確保する取組が見られ、外国人の給与は日本人向けの求人条件と連動する。外国人を活かしたい会社ほど、日本人の採用と定着が土台になる。
在留資格の手続き、受入計画や育成就労計画の申請、受け入れ後の生活支援は、登録支援機関や監理支援機関、行政書士などの専門の窓口が担う領域だ。ゴリラ採用が引き受けているのは、その手前にある日本人の採用である。建設業に特化した採用代行として、求人原稿の作成から媒体の選定、応募者への即時対応、面接設定までを担っている。
外国人の受け入れを考え始めたときは、日本人向けの求人がどんな条件で出ていて、どれだけ応募が来ているかを見直す機会でもある。自社の状況を整理するところからで構わない。相談は無料なので、気軽に声をかけてほしい。
まとめ
- 会社ごとの受け入れ人数に上限があるのは、特定技能では介護と建設の2分野だけ。
- 建設の特定技能1号は、1号特定技能外国人の総数が常勤の職員(1号特定技能外国人・技能実習生を除く)の総数を超えないことが条件(平成31年国土交通省告示第357号)。
- 常勤の職員は、法人なら社会保険(建設国保を含む)に入っている人のうち、常勤で一定額以上の報酬の役員、短時間ではない日本人の従業員、在留資格が特定技能・技能実習などではない外国人の従業員を数える。
- 特定技能2号は、JACのQ&Aは常勤に含むとし、国土交通省の手引きは在留資格「特定技能」の人を外している。2号を数える前提なら事前に確認する。
- 特定技能1号と技能実習生は、告示の文言上それぞれ別に上限を数える。合算の扱いを明言した資料はないため、組み合わせる計画は地方整備局に確認する。
- 育成就労は令和9年4月1日に始まり、施行日前申請は令和8年9月1日から受け付けている。原則として開始予定日の7か月前から5か月前までに申請する。
- 建設の育成就労(監理型)の人数枠は、常勤1〜9人なら同数、10〜30人なら9人、31〜40人なら12人、41〜50人なら15人。優良と認められれば、常勤10〜30人で18人まで広がる。
- 育成就労で優良と認められた会社は、特定技能1号の「常勤の数まで」という上限から外れる。
- 常勤が減って枠を超えたとき、育成就労は継続を望む人を枠外として扱えるが、特定技能では同じような規定が見当たらない。
- 特定技能の審査では、ハローワークの求人票の提出など国内人材確保の取組と、日本人と同等以上の報酬が求められる。